【アーカイブ】屋久島に生きる川エビの世界 彼らはどこからきたのか?
講師:池田実さん
東北大学大学院農学研究科教授
宮城県牡鹿郡女川町にある付属複合生体フィールド教育研究センターにある研究室で、三陸沿岸域の生物を研究している。専門分野は水圏生物の遺伝生態学および保全遺伝学。著書に「アユ学」(共著、築地書館)「水産資源の増殖と保全」(共著、成山堂書店)「よみがえる魚たち」(共著、恒星社厚生閣)
講師:稲次祐二さん
有限会社ネイティブビジョン
2000年3月鹿児島大学大学院水産学研究科卒業 2000年3月~2001年3月鹿児島水族館展示1係臨時職員 2001年3月~2005年3月下関水族館海響館魚類展示課 2005年3月より屋久島でエコツアーガイドに従事。
今回は屋久島の川にいる川エビについて、専門家お二人からお話を聞く豪華な回です。川エビ、探したことありますか? 屋久島には何種類の川エビがいて、どんな暮らし方をしているか、知っていますか? さらに、遺伝子を分析することで、あそこにはいるけど屋久島にはいない、あるいはその逆……など川エビの分布が分かってきたりしています。今回のお話は、川エビのような密やかに息づく生きものたちについてきちんと調べておくことが、自然を守るためにいかに大切か教えてくれます。
- 動画版
- テキスト版(準備中)
※動画のどこでどんな話をしているか簡単な概要をまとめています。詳細な内容はぜひ全編をご覧ください。
本日のプログラム 02:38
1.屋久島の川エビの紹介(稲次さん)
- 屋久島の川エビの紹介
- 屋久島と鹿児島本土の川エビ相の比較
- 種の同定方法
- 川エビの生活史
2.遺伝子で探る川エビたちの歴史(池田さん)
- 川エビのライフサイクルいろいろ
- 海をわたる川エビとわたれない川エビ
- 遺伝子でみる川エビ
- 同じ川エビでも島々で遺伝子が異なる
- 島の中でも遺伝子に違いがある
稲次さん講演スタート 06:58
- 屋久島の川エビの紹介 どんなエビがいる?
- 2つの科の川エビがいる
- ここを見る!第2胸脚!
- それぞれの科の川エビはこれだけいます
- 屋久島と鹿児島本土の川エビ相の違いは?
テナガエビ科 同定のコツ 15:33
ヌマエビ科 同定のコツ 26:15
- 額角は重要です。
- 屋久島の川エビは海を旅する!
- 黒潮に乗って旅する種もいる
池田さん講演スタート 35:58
- 海流のなかの島々の川エビたち
- 川エビのライフサイクルはいろいろ。主に3つ
- 浮遊幼生の期間の長短で海中に出られるかどうかが決まる
- 遺伝的多様性は?
- 琉球列島の沈降と隆起と川エビの行き来
川エビの遺伝子コソコソ噂話 分子系統樹とは? 44:24
- 地域の遺伝子の違いを調べる
- ヌマエビではどうか?
- ヌマエビ属にみられる奇妙な地理的分布パターン
- ヌマエビとヌカエビ
- ヌマエビのDNA、調べてみたら何が分かった?
ヒメヌマエビはどうか? 55:37
- 日本列島・琉球列島における「ヒメヌマエビ」2グループの分布
- DNAを調べるといつ、どう分布して多様化したかが分かる
- 地形とエビの進化は影響があり、それが遺伝子から分かる!
<一旦休憩>
再開 1:05:52
スジエビはどうか? 1:06:35
- 屋久島にいるスジエビBタイプの遺伝的多様性
- 奄美大島にもスジエビいた!日本列島のスジエビとは遺伝的に大きな違いがある
- 奄美大島のスジエビ=Cタイプ
- 屋久島のスジエビ2集団と周辺集団(南九州とか、種子島とか……)
テナガエビについて 1:17:12
まとめ 1:19:59
- これまで紹介した川エビにおける遺伝子の分布パターン
- 屋久島にいる川エビそれぞれがどんなふうに分布しているか
- 唐揚げにちゅうちょ……
稲次さんのお話で屋久島にはどんな川エビがいるかを知り、池田さんのお話でその川エビたちの遺伝子を調べることでいつ、多様性ができたのかがわかり、それと古地理を照らし合わせると、今ここにこの川エビがいてあっちの近縁の川エビと分かれて分布している理由は大陸の隆起や沈降とも関係している……というような刺激的なお話が展開されました。川エビってとても小さい(コンジンテナガエビ以外)ですが、教えてもらえることはとても大きいですね。
今回のお話にも出てきた奄美大島・嘉徳川産スジエビの遺伝的特異性について、以下のような論文が発表されました。
http://aquaanimal.net/cgi-bin/AA2022/AA2022-2.pdf
併せてぜひご覧ください。
順次公開予定です。しばらくお待ちください。