【アーカイブ】屋久島から考える 世界遺産のジレンマ
講師:田中俊徳さん
九州大学アジア・オセアニア研究教育機構准教授
大阪大学で歴史学を学んだ後、京都大学大学院にて環境政策を専攻。博士(地球環境学/京都大学)。ユネスコ本部世界遺産センター研修員(在学中)、東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授などを経て現職。専門は環境政策・ガバナンス論。特に世界遺産や国立公園の自然の保護と利用の仕組みについて研究。IUCN環境法委員会メンバー。世界自然遺産『奄美・沖縄』観光管理タスクフォース委員。鹿児島県出身。
世界遺産なんだから、屋久島の自然はすごくて当然! と思っている方も多いかと思いますが、ではそもそも世界遺産ってなんでしょう? 屋久島は世界「自然」遺産ですが、その意味は? そして、世界遺産であることと、日本で自然を守るということがストレートに一本道になっていないように思われるのはなぜ? そんな疑問に法律面から答えていただく納得の今回、ぜひ動画をご覧ください!
- 動画版
- テキスト版(準備中)
※動画のどこでどんな話をしているか簡単な概要をまとめています。詳細な内容はぜひ全編をご覧ください。
本日のプログラム
- 屋久島でエコツアーガイドをやった頃の話
- 『世界遺産』の実像と虚像
- 国立公園ってどんな制度?(アメリカとは全然違います)
- 自然保護行政の現在と未来
講義スタート 05:38
- 自己紹介
- なぜ世界遺産に興味を持ったのか?
- 某テレビ番組そしてヨセミテ
- 世界遺産に関する仕事がしたい→ユネスコ本部世界遺産センター研修員に
- その後、研究者を目指す
- 最初の論文は『世界遺産条約におけるグローバル・ストラテジーの運用と課題』(ネットで見られます)
- 60カ国、100箇所ぐらいの世界遺産を訪れる
屋久島との関わり 17:35
- 2006年初来島、以後30回以上訪れる
- 2009年の夏小原比呂志さんに弟子入り
- 1ヶ月弱ガイドの手伝いをして現場感覚を養う
- ガイドでいちばん大切なものを知る。それは……
- 論文執筆で受賞など
本題「屋久島から考える世界遺産のジレンマ」 26:08
- 世界遺産条約とは? その目的は?
- 8割が文化遺産、2割が自然遺産
- ユネスコで最も成功した条約と言われている
- 世界遺産条約ができたのはなぜ?
- 国の枠組みを超えた保護
- アメリカはかつて国立公園を民主主義のシンボルとして外交に使っていた!
- ニクソンは世界遺産についてどう語ったか?
登録はゴールではなくスタート 36:16
- ↑この言葉の意味は重い!
- 誰がどのように保護管理を担うのか
- 保護担保措置とは(ここを理解しよう)
- 日本の場合は2つの法などに基づいている
- 世界遺産になると規制が厳しくなるのか?
- 国立公園の重要性
世界遺産を守るということは、国立公園を守るということ 43:16
- では国立公園とは?
- 制度とその特徴4つ
- 土地所有 アメリカなどと日本の違い
- 多様な土地利用と利害関係者 環境省の持っている土地は何%??
- 重複した法制度 調整の難しさ 利害関係者の多さ 経済との両立
- 弱い政府
<一旦休憩> 59:48
- チャットからの質問
- 環境省と林野庁の調整、屋久杉については?
- 開発調和原則が変わる可能性は?
- 観光と自然保護
<本題に戻ります> 1:08:48
- こんな日本の課題はなにか
- 日本の自然遺産の状況は?
- 屋久島の問題点は……
- 日本の世界自然遺産を守るには?
- 屋久島の老齢照葉樹林は世界遺産地域の外側を取り囲んでいる
田中さんの講演終了 1:16:46
- チャットからの質問
- エコツーリズム推進法の特定自然観光資源の考え方は希望になる?
- 世界遺産に登録されていなかったらどんなメリットデメリットがあったんでしょうか
(非常に興味深いやり取りです。ぜひ動画をご覧ください) - アニメの聖地巡礼的な人の増え方はありましたか?
- 今まで訪れた中で一番印象に残った世界遺産はどこですか?
(台湾は外交問題で世界遺産になれない、でも素晴らしいところがいっぱい!)
非常に興味深いお話でした!自然を守りたい、自然を守るべき、世界自然遺産なのに!という嘆きは誰しも持っているかもしれませんが、なぜ日本ではそれがスムーズにできないか。法律という側面から解説いただいて、日本の社会の構造についても考えさせられた回でした。
これは日本人全員が考えるべき問題です。
順次公開予定です。しばらくお待ちください。