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「「屋久島大学」プロジェクト」オープンします!

いよいよ始まりました「「屋久島大学」プロジェクト」。これは屋久島を舞台に、島内外のさまざまな人々が楽しみ、学び、互いに繋がることを目的とする仮想市民大学です。「屋久島そのものが、学長」というコンセプトのもと、自然や歴史、文化芸術、街づくり、観光や防災まで、屋久島をフィールドとする幅広い専門家を招き、開かれた学びの場を作ります。そこで今まで気づかなかった広い知と出会い、屋久島へ来島し、関わり続けていただくきっかけを作ります。開催開始に先立ち、設立の趣旨や展開する内容などをお伝えするオープニングイベントが2021年11月13日にオンラインで開催されました。当日ご覧になれなかった方はぜひこちらからアーカイブをご覧ください。

今回は2人の主要スタッフにより進行を行いました。

小原比呂志
屋久島大学発起人。北海道出身。1987年に屋久島に移住。日本のエコツアーガイドの草分け屋久島野外活動総合センター(YNAC)の創立メンバー。NHKドキュメンタリー『伝説の超巨大杉を追う』索隊長。著作に『屋久島のコケガイド』『屋久島オープンフィールドミュージアムガイドブック』など。

えぐさゆうこ
元南海放送アナウンサー。音楽活動もしている。父の故郷が屋久島で、屋久島の民謡「まつばんだ」との出会いをきっかけとして、屋久島の古謡をはじめ、日本各地の民謡を歌っている。

こまず、小原比呂志より「「屋久島大学」プロジェクト」の趣旨を説明しました。

屋久島を学ぶ喜び

屋久島大学とは仮想大学で、オンラインを中心とした社会人のためのものを考えています。大学と名付けたので、「学部」の構成を考えました。

  • 「エコツーリズム学部」=エコツーリズムの定着とエコツアーガイドのスキルアップ
  • 「教養学部」=オンラインセミナーやリアルセミナーで屋久島の魅力を楽しく理解することを目指す。
  • 「芸術学部」=メッセージを込めた屋久島の商品を作る

これらについて、プロジェクトマネージャー・岡田よりもう少し詳しくご説明します。

「屋久島大学」プロジェクトとは? その概要について (プロジェクトマネージャー 岡田宏一)

「「屋久島大学」プロジェクト」3つの柱

①当内外の人々のオンラインネットワークづくり
「学部」と名付け、教養学部、学生課ではさまざまな専門家の先生とともに、普通の観光では知り合い知り得ないような、ワクワクドキドキな話を直接聞く機会をたくさん設け、オンライン、オフラインでも交流し続けるよう取り組む。
②ガイドの知識向上とスキルアップ
今後、たくさんの方々に深い屋久島を知ってもらうために、ガイドやさまざまな関係者に、より専門性の高い、国内外のエコツーリズムなどのノウハウを共有していく。将来的には”エコツーリズム“が市民権を得るように働きかける。
③インタープリテーション商品の制作
インタープリターとは通訳と言う意味で、要は自然から教えてもらうことをよりわかりやすく伝えるということを意味する。これを商品に落とし込んで、商品から屋久島で得たメッセージを感じ続けるための商品。素敵なお土産を見ているだけで、学んだもの、得たものがよみがえってくるような、ちょっとユニークでデザインにも凝った商品を制作すべく、クリエイターたちと企画中。

学部の「学生課」について補足。オンラインに参加した人々が屋久島をよく知り、ワクワクした結果、アンバサダー、サポーターになるような仕組みを構築中。今後いろいろなイベントやコミュニティーを構築予定であり、ぜひ積極的に参加していただきたい。来年度以降は人材育成ですが、島外の人とのコミュニケーションを促進するような活動を行っていきたい。

屋久島大学とSDGs

17あるさまざまなSDGsの目標も土台は環境です。海、陸、生物、そして水の話、気候変動の話。これをみんなが助け合って、持続可能な社会を作っていこうというのがSDGsの目標ですが、まさにこの屋久島ウェディングケーキモデルにしますと、いちばんボトムに屋久島を据えることができるのではないかと思います。屋久島を知るということは、このSDGsの根幹である、我々が住む土台を知るということになるかと思います。日本で貴重な自然を持つさまざまな場所、その中でも屋久島が日本だけではなく、世界各地のエコツーリズムの場所とも、また専門家の先生、専門家のみなさんとも繋がっています。この活動はただ屋久島で終わるわけではなく、さまざまな場所から知識を得ていく活動にもつなげていきたいとわれわれは思っています。

このあと、小原比呂志より「屋久島の魅力について」の講演がありました。ぜひ動画でご覧ください。ネイチャーガイドの第一人者である小原が紹介する屋久島の魅力のエッセンスが詰まっています。

自然が作り上げた屋久島の魅力(小原比呂志)

【屋久島が白雲島と呼ばれた理由】
屋久島は中国の昔の海図に「白雲島」と書かれていたことがあります。その理由は、風と山によって作られる雲です。屋久島の地形と風、そして立ち上る雲が屋久島らしさを作り上げます。
【妖怪が住む島】
旅行者にとって、いえ、島住民にとっても「美しい」と感じる安房川。安房橋(まんてん橋)からの風景は本当に美しい。その安房川には河童が住んでいます。屋久島には伝承や民話がたくさんあります。川で深みに引き込まれる恐ろしさは、河童がいるからと思うと本当に恐い。他の場所では感じないような自然への畏怖が、屋久島ではとてもスケール大きく感じられます。
【中国まで1000キロ、近いといえば近い】
屋久島から口永良部島までは大体12キロほどです。その先50倍ぐらい、1000キロほど行った所に中国の広州の街があります。これだって、近いと言えば近いです。遣唐使船で順調なら5日で行ったそうです。
【裏山が百名山】
宮之浦岳は日本百名山の1つですが、登山道を歩いていけばたどり着いてしまう。いわば裏山が日本百名山なのです。屋久島はすぐに凄い名山に行ける、すぐにすごい川に行ける、とってもコンビニエントな島なんです。
【民謡そして人と自然】
年によって山を覆うようなヤクシマシャクナゲ。天上の楽園を見る思いです。これは古来から有名な花だったようで、屋久島の南にあるトカラ列島とには『しゃくだんばな』(シャクナゲ)という民謡があります。『屋久島節』という歌もあり、トカラの島々には屋久島の山を対象とした山岳竹信仰が残っているようです。これはおそらく屋久島民ではない人が、屋久島の山を体験して伝えたということのでしょう。おそらく修験道ではないでしょうか。本富岳(モッチョムダケ)もどうも修験道との関わりがありそうな、謎を秘めた山です。
【重さ100キロの石が流される川】
岩と一口にいいますが、とても重いです。大人でも30センチぐらいの石ならなんとか持ち上げられても、40センチとなると相当重くてなかなか持ち上がりません。50センチだと重さ100キロぐらいにもなるのでまず持ち上がらないです。モッチョムを挟んだ反対側の谷底には、なんと30メートルの岩が落ちています。Google Earthでよく探すと、谷底に巨大な石が実はあちこちにあるのが分かります。大川之滝(オオコノタキ)は水が少ないときはあまり流れがありませんが、山の上の方ですごい大雨が降るとたちまち増水します。こういう時にいろんなものが流されてきます。岩も流されてきます。
【弁当半分食べるという言い伝えの理由】
自然の中では、何があるか分からりません。屋久島には「弁当半分食べる」と言う言葉があります。持ってたお弁当を半分だけ食べる。次に4分の1食べる。次に8分の1食べる。こうすれば、山で迷っても食べ物はなくならないということなんです。
【普通が珍しくなる島】
屋久島で出会う動物といえばサルとシカ。植物はスギ。でもシカもサルもスギも日本のどこにでもいますよね。北海道や沖縄以外の場所では珍しいものじゃありません。しかしヤクザルの数の多さは他の場所とは比べものにならない。スギにしても屋久島でだけあんなに巨大な森を作っています。普通と珍しい両方があること。これが屋久島の特異な点です。シカは、生きるためにスギの葉を食べますが、スギも食べられてばかりではかなわんと形態を変えて防御します。また、若い葉をトゲトゲの形にして食べにくくします。鹿にかじられることで、樹形を変化させました。進化ではなくて、成長の過程で自分を作り替える。こういう手を持っているものは屋久島で元気よく生きていけるということになるんでしょうね。そしてスギが巨大化するのは、生き延びて、立派に育ったものだけ。スギはだいたい800歳ぐらいで様子が変わります。普通は800歳未満で倒れてしまうものが多いですが、何かの理由で安定していると、巨大なスギが生き残るのです。スギも日本のどこにでもあるものですが、屋久島では野生の生きものとしてのスギがシカと戦い続けながら生きていることが特異なんです。
【森に残る人間の痕跡】
森を歩いていてふと見つけたコケ玉に、何種類ものコケがついてとても可愛くて、ながめていました。しかしよく見ると、コケがついているのは石ではなかった。それは炭焼き窯の一部だったんです。屋久島ではかつて屋久杉を伐採し、薩摩藩に売って生業にしている方がたくさんいました。近代になってからは炭焼きがかなり行われています。標高が低いところは広葉樹で炭を作ることができるので、その痕跡が森の中に残っていたのです。感性でキャッチしたものを知性で納得するわけで、すると知ったことが非常に骨太なものになります。「屋久島大学」ではそういうことを進めたいと考えています。
【大切な外部の目】
外部の人の目線も重要です。住んでいると気づきにくいものを、外部の目線――客観視で見てもらうと、面白い切り口になりまた深い学びがある。屋久島では90年代に世界遺産になって、外からの刺激によって、地元で自分自身を客観視するという動きが始まっています。島内在住者と来島者を結びつける意味が屋久島大学にあるのではとも思っています。詳細はぜひ動画をご覧ください。

オープンにあたって関係各所より祝辞やメッセージをいただきました。ご紹介します。

祝辞:屋久島町 町長 荒木耕治

本日ここに「オンラインアカデミー屋久島大学」が開校されますことを心からお慶び申し上げます。地域の観光資源の磨きあげを通じた、域内連携促進に向けた実証事業として、観光庁の趣旨に沿った提案が見事採決され、このように事業実施するに至ったことにつきましては、連携する本町としましても喜ばしい限りであります。今回の事業実施にあたり、ご尽力された、実施主体でありますNPO法人屋久島エコフェスタの田平理事長を始め、担当の小原さん、並びに連携団体のみなさまに感謝を申し上げます。まずは、今回の屋久島大学の開催にあたり、島外居住者と島民のためのネットワークコミュニティーとして、島内外のさまざまな専門家を講師に招き、屋久島の魅力と学びのあるオンライン提供がされることは大変意義のあるものだと考えております。今後の取り組みを含め、観光関連事業者や町など、地域に根ざしたさまざまな関係者が連携して、観光資源を磨き上げる取り組みが必要でありますので、皆さまのお力添えをお願いします。オンラインアカデミー屋久島大学の開講を心からお祝いいたしますとともに、NPO法人屋久島エコフェスタ、ならびに関係者のみなさまの益々のご発展とご活躍を祈念申し上げ、祝辞といたします。」

祝辞:屋久島町観光まちづくり課 課長 泊光秀

改めまして、オンラインアカデミー屋久島大学、開校おめでとうございます。町長の祝辞にもありましたように、観光庁の趣旨に沿った提案が見事に採択されまして、今回このようにスタートされますことは本町といたしましてはうれしく思います。これもひとえに田平理事長、小原さんをはじめ、スタッフの皆さんの努力によるものだと思います。また田平理事長、小原さんにつきましては、本町の事業におきましても貴重な役割を担っていただいておりますことも感謝申し上げたいと思います。簡単に経緯をご説明しますと、小原さんから提案内容の説明を受けましてから打ち合わせをする中で、観光庁の応募要領にもありますように、地方公共団体との連携が必要でありますので、町としましても内容精査した上で町長の承諾を得たところでございます。よろしくお願いします。

祝辞:鹿児島県屋久島事務所 主幹 田中省吾

本日、屋久島大学の開校、オンラインアカデミーイベントが多くのみなさまのご参加により、盛大に開催されますことを心よりお祝い申し上げます。私は2年前、2019年の4月に屋久島に参りました。この約2年7ヶ月の間に、何度も山に登ったり、夏には海や川を楽しんだりなど、屋久島の大自然を満喫しております。自分の身近なところに世界自然遺産に登録された壮大な自然があることを幸せを感じながら日々過ごしています。屋久島のありとあらゆるものが私の心を揺さぶり、感動をいただいています。紹介いただきました通り、私の業務での担当が環境観光担当でありまして、この屋久島大学ではエコツーリズムなどそうした分野の活動が主体となるのかと思います。ぜひ構想や企画が多くの方々に広がって、屋久島をより深く知ってもらい、実際に屋久島にお越しいただいて、直に肌に触れていただきたいと考えております。またこの屋久島大学の主旨が多くのみなさまに理解され、更によりよく世界でも模範的な場所になることを期待しております。個人的にもこの活動を楽しみにしております。最後になりましたが、本日のイベント開催、屋久島大学の開校にあたりましてご準備いただきましたNPO法人屋久島エコフェスタのみなさまに厚く御礼を申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

祝辞:環境省屋久島自然保護官事務所 丸の内恵美子

このたびは開校おめでとうございます。今拝見すると(オンラインで)150人の多くの方が参加されていまして、屋久島大学を通じて多くの方がこの屋久島の魅力を自然だけではなく、文化も含めた、多くの観点から屋久島のことを深く知り、訪れたいというきっかけになれば良いかなと思っております。環境省としては、世界遺産として、また、こちら屋久島国立公園という日本の34カ所のうちの1つとして、原生的な自然を誇る場所について、地元の方の関係機関の方のご協力を得ながら管理をしているところです。こういったオンラインを通じて屋久島の魅力を多くの方に知ってもらえるということは、私どもとしても機会を設けていただいた関係者のみなさまに感謝申し上げたいというところでございます。私個人としましては、こちらの屋久島には仕事で昨年の7月に来まして、まだ1年4ヶ月程度なんですけど、来た当初、海から立ち上がる洋上アルプスさながらの山々を見て、屋久島に足を踏み入れる前から圧倒されたということが強く残っています。実際に足を踏み入れてから、仕事の関係で山を登ることもありますし、プライベートでも登っている、山の奥深さもそうですが、地元の方々がやはり山を畏れ敬う気持ちで接していることはもちろんですが、雨の多さもそうでし、山の恩恵という、実は屋久島、ほぼ100%水力発電で電気も補っているということで、自然とはいっても見る自然だけではなく、実際に私たちの生活にも深く関わっている点で、日本全国、世界的にみても素晴らしい場所ではないかなと思っております。この機会を通じて、今回参加されている方々が本当に複層的に多くの魅力を知って、足を踏みいれたり、何回も訪れていただけるようになればありがたいなと思っています。屋久島には海、山、川、一級の自然がありますので、屋久島町さんがやられている公認ガイドという全国的にも町が認定しているガイドさんもいるので、そういう方々も心強い味方として、これから訪れてみようかなという方も自然を楽しんでいただけるとよいのかなと思います。本日は開校おめでとうございました。関係者の方に感謝を申し上げながらご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

最後に共同運営 世界仮想旅行社・屋久島大学コミュニティマネージャー 中島しのぶからのメッセージです。

世界仮想旅行社 中島しのぶ

皆様、オンラインに参加していただければ「学生課」に入学したことになります。ぜひ、これからもご参加ください。私のもとにはみなさんから「行きたいんです」「リトリートやってください」「ワーケーションやってください」「合宿企画してください」とたくさん声が寄せられています。はい。大丈夫です、企画します。作戦会議にはみなさんも一緒に参加していただいて、どんどんご意見いただければと思っています。たとえば「ヤクザルと向き合う4日間」とか、「コケまみれの3日」とか、「民謡を歌う●日」などアイディアは尽きません。一緒にアイデアを出して、実際に屋久島に行ければと思います。オンラインセミナーはこれからたくさん開催をしていきます。

今後の予定について
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WEBサイト上でもスケジュールや記事などをアップしていく予定です。